*集約型産業

みなさん結構したり顔で、「これからはソフトウェア業界は、労働集約産業から知的集約産業を目指さなくてはね(ビシッ!)」といいますよね。はい、私も言います。けど、それって本当はどういう意味?労働集約と知的集約の違いって何?その産業が移行するとは?移行できるの?そのインセンティブは?つまり、誰がうれいしいの、誰はそんするの?俺に明日チョコレートをくれる人はいるの?といろいろ疑問は尽きないわけです。早速ググって見ましょう。

1. 資本集約型産業<しほんしゅうやくがたさんぎょう>capital-intensive industry
事業活動を営む上で、労働力より資本設備への依存度が高い産業のこと。一般に固定資本の占める割合が高い。これに対し、労働力への依存度が高い産業を労働集約型産業という。鉄鋼、石油、化学など、大きな設備投資を要する重化学工業や装置型産業が資本集約型の典型的な例。
2. 労働集約型産業<ろうどうしゅうやくがたさんぎょう>labor-intensive industry
事業活動を営む上で、労働力に対する依存度が高い産業のこと。接客応対を中心とするサービス業に多く見られる。一般に従業員を数多く抱えるため、賃金コストの割合が高い。一方、資本への依存度が高い産業を、資本集約型産業という。かつては組立加工や土木建設、金融業なども労働集約的であったが、コンピュータシステムの導入などにより人手に頼る部分が減少し、資本集約型産業へと変貌を遂げた。サービス業においても、頭脳労働や判断業務がシステムに置き変わり、資本集約型に移行しつつあるケースが多い。
3. 知識集約型産業<ちしきしゅうやくがたさんぎょう>knowledge-intensive industry
事業活動を営む上で、知識労働への依存度が高い産業のことで、労働集約型産業の一種。一般に、研究者や技術者を数多く抱えており、コストに占める研究開発投資の割合が高い。ソフト開発等の情報処理産業、バイオ等の研究開発型産業、ファッションやデザイン関連産業などが典型とされる。

なんかいろいろ書いていますが、簡単に言うと「*の部分に相当するものをたくさん集めた方が勝つ産業」というのがある産業がどの集約型産業かを判断するためのわかりやすい基準だと思ってください。
 この文献の労働集約産業、知的集約産業の定義に注目しましょう。そうすると、労働集約からの脱却をしたいのは,高利益率を達成したい経営者の視点であり、それもシャア型世界を目論む人の発想なのかと思わないだろうか。たとえば、外資投資銀行なんて,典型的な知識集約型産業であるといいます。彼はどういうビジネスなのか。単純に説明します。まず、創業者のがんばりによるブランドの確立です。「シルバーマンピアノ銀行は高い運用益を維持する会社である」というブランドを確立します。このブランドにより、運用できるお金を集めます。そしてその集めたお金を稼いでくれる優秀は人のみ残し、彼らにすべて運用させ、高い運用益を確保します。残念ながら、ダメな人は、不思議と定規が飛び出ている段ボールに私物詰めてさせてられて*1サヨナラしてもらう。こうすることによって「長期的な利益構造を得るためのブランドの維持」と「短期的な高い運用益の維持」を実現するシステムを構築している(らしい)。結局、ほんの一握りの優秀なトレーダがこの会社の利益のほとんどを稼いでいますから、ボーナスはその分べらぼーに高いです。(高いといっても少ない人数でたくさん利益を上げているのですから当たり前なわけです。ほんと、究極的な知識集約型産業といえますね。 あと、定義における例に出ているデザイン関連産業。いわゆるクリエイティブな才能が望まれる職業ですね。これらの職業が才能のある人間とない人間で驚くほど得られる報酬が異なることは、普通みんな知っているですよね。つまり「知的集約産業それ自身がすべてになること」はあるはずがないとはいえ、そのような世界はかなり地獄なのである。労働集約的な仕事しかできない人はクビになる可能性があるんですよ!知識集約型産業は.
なのに、労働組合と称する人たちも含め、結構安易にソフトウェア産業を「労働集約型産業」から「知識集約型産業」にと発言する。大丈夫かなあ。まず、意味がわかっているのか聞いてみたほうがいい。そして、具体的にどういう層のどういう職種の人をどうしたいのか、それが、彼らの理解の「労働集約型産業」から「知識集約型産業」で本当に解決するのか、議論したほうがいい。と思いました。「みんなが幸福に働く」どうしたらいいんだろ。金子勝先生に触発されて格差社会の本をいろいろ読んでいるが、むずかしいもんだいだなあ。

http://www.navigate-inc.co.jp/term/term-sa.html

*1:超元国営企業関連会社に勤めている私の、外資のやめる人のイメージです。「これみんなのカンパ」とかいって100ドルぐらいの入った封筒を、段ボールを持って手を使えない退職者の胸ポケットに入れたりすると思っていますがどうでしょうか。