CMMIの誤解を招きやすいところ

まあなんだかんだで4月からCMMIなるもに触れてきて、はや1年。CMMIって、知識体系としても、付随する方法論にしても、ビジネスモデルとしても、非常に興味深いものなのだが、一方誤解も多い。なぜか。
 結局、CMMIは何で'ない'のか?」が伝わっていないのだが大きいと思う。CMMIは別に「組織目標を導き出してくれるもの」ではないし、「組織特有の具体的な問題を自動的に洗い出してくれるもの」でもないし、「レベルをとれば勝手に組織が「なんかよくなってくれる」というもの」でもない。
 具体的な組織目標があって、具体的な自分たちの現状を知って、その上で、目標に向かって自分たちの現状を改善していくための非常に抽象的なあるべきモデルとあるべき姿になる抽象的なアプローチを見せてくれているだけだ。だから、具体がちゃんと把握されていないとCMMIの抽象レベルから一歩も外を出ることができない。
 同様に、ギャップ分析で具体的な改善点が自動的に発見できると思うのは誤解だと思う。ギャップ分析は「現状をCMMIのモデル並みに非常に抽象的なレベルに引き上げて比較する」作業であるから、そこで得られたギャップは抽象的レベルでの差異だけであって、そこには現状を抽象的にレベルに引き上げた際に捨象された内容は一切比較できない。だから、そこに問題があったとしたら特定されない。両方を考えなければならないのは明らかであるにもだ。
 おそらく、捨象された内容なんかより前にCMMIレベルの抽象化で差異があるところをまず直さないとあかんよというものなんだろうけど、レベル取りがメインになると、どうしても、抽象化レベルでの差異を埋めることばかり目が行き、捨象された内容に改善すべきところはなかったのかには目がいかない。
ここらへんは、実際に改善を考えている人が何を目的にやっているかによるんだろうけど。