梅田望夫さんと会うの巻

昨日、Webほげほげ論で有名な梅田さんのお話を聞いてきた。彼が言うには、研究者として必要なことは以下の3つに要約することができるとのこと。

  1. Counter culture / Counter discourse
    • 個人を徹底的にエンパワーしていく思想、立場
    • 「アメリカは○○である」のようなステレオタイプの定義付けを拒む対抗言説が大切。diversityの重要性
  2. 志をもった「小さなチーム」
    • 世界を変えるような大きなことも、始まりは小さな種である
    • プロジェクトチームは、会議なしで、ランチのみで始められる、ランチテーブルを囲める程度の人数が適当である
  3. 起業家精神
    • マドルスルー(muddle through):手探りで困難に立ち向かうことを楽しむ企業家精神が大切
    • tenaciousness:絶対にあきらめないこと

 まずこの内容には賛同する。
 で、ここに書いてあることだけでは研究者は生きていけないわけで、最近は人間系のストレスばかりで疲れ切ったり、技術のわかんない人に技術の話をすることに時間を費やしたり、無駄としか思えない事務処理に一日が終わったりとかしなくてはならない。 要するに、この話に反論することは簡単である。ただし、彼はこの3つの話と同時に、私のような大企業のR&Dのメンバを非難する話をしているにもかかわらず、その講演は非常に私をencourageするものであった。
 最近、世の中やネット上で耳にする言葉や文章や文字列のほとんどは、怒りや非難や中傷や冷笑である。それらは基本的に心を折る方向に自分に働きかけるものであり、自分がしっかりしていないとdiscourageされる。また、そういう言論ができることこそが頭がいいと思っているような人さえもいるみたいである。
 確かに、目標の決まった行為に対する自分が関係する特定の誰かのパフォーマンスの低さに対して相手を結果的にはdiscourageする言動をすることにより彼のパフォーマンスを上げるような行為が必要な場合はある。しかし、少なくとも不特定多数に対する愚痴や中傷や非難は何ら自らに利益を生むものでないから意味がない。で、もっと人間の心の深い部分での動機付けというところで精神論でなく論理的かつコンテキストに即したencouragementを相手に与える発言ができる人は非常に少ないし、discourageする発言よりはるかに難しく才能がいると思う。
 そういう意味で、梅田さんやその横にいた人はすごいっす。