ついにsemanticWebが来るとみた

RDF、OWLがついに来るとみた。
米ヤフー、セマンティックWebと検索オープン化に踏み出す

米ヤフーは、近く同社のSearchプラットフォームのAPIを提供して、外部の開発者が構造化データを使って検索結果をカスタマイズし、ユーザーの利便性を向上させられるようにすると明らかにした。

 2004年頃一度semanticWebが 'featuring Web Services'で流行った時、RDFは任意の言明(asserion)を表現できる述語論理を基盤とした抽象モデルであるから任意の言明を好き勝手に皆が表現しても分散型Webのアーキテクチャを活かすことにより全体としては論理学的裏付けのある大きな知識表現データベースが構築できる(自然と構築されてちゃう)と思われていた。しかし、RDFは確かに言明の表現が可能であるが、好き勝手に皆が言明を記述してしまうと個々の言明で用いられる語彙の定義も好き勝手にされてしまう結果、それらを集めても述語論理を活かすことはできず推論可能な関係を持つ言明群にはならない。結局ボトムアップ的に語彙定義を決めたものをRDFで表現した言明のみがその語彙定義を使うアプリケーションのみで使われるようになった(代表的な例は、RSS 1.0 (RDF Site Summary 1.0)、FOAF)。Web上での合意形成が必要なこの手のものはボトムアップでバラバラ登場し発展・淘汰されて利用されるもののようだ。(間違ったプロセスを踏んでしまった例 ―> ebXML CCTS。。。)
 で、最近そうはいってもだんだん語彙定義が決まったRDF表現がWeb上に貯まってきた。これらは語彙が定義されている言明なので、その語彙のセマンティクス、つまり元のリソースの「メタメタデータ」をOWLなどを用いて(用いなくてもいいけど)定義することにより言明群を論理学的に関連づけることできることになる。要はついに当初の目標であった「全体として大きな知識データベース」が構築できるわけで、これはそのセマンティクス構造の存在を背景とした賢い検索サービスの提供と両輪で発展して行くであろう。
 というわけで、「はやるはやるといわれて結局はやらないだろうと思われてきた技術」の代表例であるSemanticWebも今後はやるのではないであろうか。はやるといっても別にWebのサービス受給者から見れば完全に裏方技術だからどうでもいいんだけどね。
 自分のような研究者として重要なのは、「解決技術としてSemanticWebがはやっている世界」になった時に登場するor求められるサービスは何で、それにより浮上してくる問題は何で、その問題を解決する技術の要件は何で、その要件を解決するにはどうしたらよいかを自らの頭で創造し発信・実装できるかどうかなわけさ。
 こういうような話をを「なぜなぜ思考」から「もしもし思考」への転換というそうな。つまり、現状に何か問題があってその原因である「なぜ」を再帰的に探って問題を'解決'するじゃなくて、現状から「もし」こうなったらを再帰的に予想していき問題を'発見'するということが今後の技術者には重要になるという話。

セマンティック・ウェブのためのRDF/OWL入門

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