研究プロジェクトとリスクプレミアム

金融商品には、リスクプレミアムという概念がある。
ものすごく簡単に言うと、同じ理論期待値の商品でも国債より株のようにリスクが大きい商品のほうが、市場での評価から算出した実質期待値は高くなるということだ。それはなぜかというと、普通の人はリスクの高いものを嫌がるからプレミアムがないと取引が成立しないからだ。この普通の人の発想をリスク回避的という。
 で、研究プロジェクトで顕著だがプロジェクトの評価でも同じような考えが働くもので、結果的に同じ成果が出そうな研究でも、「チャレンジングな目標」で説明するのと「手堅い目標」で説明するのとでは、評価者のリスク回避傾向を考慮すれば後者で説明したほうが通りやすい。
 そして、目標のリスク設定がすべてのプロジェクトで低いほうで同じになり、かつ承認されたプロジェクトの期待値も同じという前提の結果、目標設定との乖離で成果の評価が可能ということになる。そうすると、挑戦的な目標設定も実行もしなくなるのは自然だ。
 チャレンジングな研究を推奨するために、なんかリスクプレミアムみたいな考えを導入できないかね。