三菱ケミカルがデジタル変革の独自方法論、CDOは元IBM岩野和生氏

三菱ケミカルがデジタル変革の独自方法論、CDOは元IBM岩野和生氏

岩野氏が三菱ケミカルホールディングスに入社したのは、CDO着任3カ月前の2017年1月のこと。CDOになるまでの3カ月間、事業部門と主要な工場を訪問した。責任者や現場の担当者に直接ヒアリングし、70件の変革アイデアを抽出した。

 抽出したアイデアは、「実現のしやすさ」「実現した際のインパクト」など複数の観点で評価。優先順位を付けてプロジェクト化した。そのうち、初期に手掛ける数件のプロジェクトについては、「フラッグシッププロジェクト」と名付けた。

 フラッグシッププロジェクトの一例が、生産や研究開発プロセスのデジタル化だ。「生産や研究開発の現場では、原材料の配合の仕方などで人間の勘と経験がものを言う部分が多々ある。そうした部分にAI(人工知能)やテキストマイニングの技術を適用し、人間の判断を助けたり、効率化したりする」(岩野CDO)。

事業部門が現在直面している課題について、事業部門とCDOオフィスが共同で解決策を探るのが「Type1」。これに対し、現時点では問題ないものの、将来的に重要な案件が「Type2」だ。最後の「Type3」は、企業の枠を越え、グループ全体や化学業界に関わる社会的なプロジェクトである。Type1~3のプロジェクトを2018年3月までに合計で10件程度手掛ける予定だ。

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現状で、デジタル変革の大まかなプロセスは見えてきた。「ブレインストーミング」「プロジェクト」「SWAT Team活動」「本格プロジェクト」の4フェーズで進行させる。それぞれの工程の内容や期間、工程ごとに求められるメンバーのスキルなどを規定していく。


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