うまくいかない業務の継承、塩漬けシステムの移行で現場は悲鳴

うまくいかない業務の継承、塩漬けシステムの移行で現場は悲鳴

つまり、当時作り込まれたアプリケーションには、様々な目的の業務処理が1つのコンピュータのなかで同居しているのである。現在では、「SoR(System of Record、記録のためのシステム)」と「SoE(System of Engagement、顧客との関係性強化のためのシステム)」など、アプリケーションの目的によってシステムが区分されるが、古いメインフレームのアプリケーションは必ずしもそうではない。これら2つの種類の処理が渾然一体となることはよくある。

筆者が体験した事例では、10人の担当者が1年以上かけて現行の業務仕様を整理したというケースがある。その旧システムには、複雑な判断ロジックが30年にわたって追加コーディングされ続けてきたCOBOLプログラムがあった。IF文のパラメータ数が100を超え、条件もAND、OR、NOTを組み合わせたもので、移行担当者の理解を超えていた。

 10人はこのプログラムのパラメータをすべて洗い出し、それぞれに対して成立条件を書き表してExcelの一覧表にまとめた。この作業を通じて、30年にわたって蓄積された業務ノウハウを次世代の担当者が理解することができ、無事に再構築を終えることができた。

Excelにまとめれば業務ノウハウがわかるのか。そうなんだ。

itpro.nikkeibp.co.jp