ワークマンはなぜ2倍売れたのか?の感想
ワークマンはなぜ2倍売れたのか?って本が結構面白くて、その中でデータ分析の話をまとめてみました。
本の内容をDX推進指標を参考に整理しています。
- 経営層の明確なコミット、文化・組織作りの徹底ぶり、データ分析をするための仕組みは、「よく言われるができていないこと」をやっている
- 「分析そのものはExcelで統計分析ぐらいだけでやっている」というところが新鮮
ワークマンは2014年より前は、店長のKKDが売り上げを支えていたらしく、在庫データとかもまともにデータ化されておらず、データ分析したいことに必要な情報を順次データ化していったらしい。
最近思うが、変に大量にデータがあると、それを捌くことが可能な基盤を検討することが「できちゃう」ので、その結果、何のために作ったのかよくわからないデータ活用基盤を「作れてしまう」のかもと思った。そもそもデータがなければ、そんなこと考えない。
本の話のまとめ ビジョン・経営層のコミット: ・ 2014年の中期業態変化ビジョンにて「データ経営」を宣言(2年ぐらいで成果が出はじめ、あしかけ5年ぐらいでデータ経営を主軸とする会社に変貌したと外に言えるようになったと思っている) ・ 初期プロジェクトは社長直轄。社長がすべて指示(その代わり、CIOが裏方で徹底的に補佐)する形をとった 文化・組織 ・全社員にデータ分析の能力を身に着けさせた ・ 2年次から全社員向けデータあり。 ・ ただし、基本的にはExcelでできる分析のみ。それを徹底して教える ・ 部長任用条件にデータ分析能力を必須とした ・ 経営幹部にも同じ研修を受けさせた ・ データ分析が得意なメンバを集めたSV部を作った(約20名) ・ ここで能力を磨かせ、最終的には物流部門や新商品開発部門などに配属。データ分析を現場に広げる ・ 最初は、データ分析を使った業務をした店舗に報奨金を出した ・ また、データ分析を積極的に使っている店舗と店長の勘に頼る店舗の売り上げの違いをデータで示し、みんな使うように仕向けた。 仕組み ・ データ分析を可能とするために、在庫数量のデジタル化や契約プロセスのデジタル化、EDIなどを平行して導入。EDIは全取引先必須とした ・ システム構築は日立に外注しているがが、要件定義は必ず社員が行うようにした ・ 社員もデータ分析の知識があるため要件を定義できる。 ・ システムの中のヒット機能は,元々現場のマネージャクラスが自分のために作ったもの(一括発注機能、未導入商品発見機能。。) 技術 ・ ほぼExcelでできる分析 ・ 全社員自分の持ち分のExcelのツールを使って分析できる ・ より上位役職になればなるほどデータ分析が必要となり、自ら使えるようになる必要がある。 ・ 一方、Excelの関数を使って分析ツールを作れる人2割、マクロを使える人が3%。逆にこの程度で今は大丈夫 ・ 一部SASを使っている。非常に複雑なシミュレーション(天気と売れ筋の関係)にのみ使用 ・ 一番データ分析ができるSV部でも、統計分析の範疇(需要予測、回帰分析、相関分析)である ・ いわゆるAIは使わない ・ 因果関係が分からないため ・ 社員がものを考えなくなるため ・ ただし、すべての業務を自動化するようなことを考えるころにはAIも導入すべきと考えている。