「APIファースト」の本質--なぜ銀行がAPIを公開するのか

APIファースト」の本質--なぜ銀行がAPIを公開するのか

ソーシャルネットワークに代表される、いわゆるインターネットサービスが競ってAPIを公開した結果、開発者の間には「公開されているAPI」に対する、一種のベースラインが確立している。

 それは例えば、開発者がふだん慣れ親しんでいるAPIの作法(RESTfulなアーキテクチャ・スタイル、JSON、OAuth/OpenID Connect、 JWT)や、開発者が期待するAPI周辺のサポートのしくみ(インタラクティブAPIリファレンス、サンドボックス、コミュニティ・フォーラム、SDK)などである。

現在のAPIによるサービス連携では、エンドユーザーが自発的にサービスを組み合わせるやりかたが当たり前になっている。

 例えば、複数の金融機関が管理する口座情報を、フロントエンドを提供する別のサービス事業者が集約するケースでは、エンドユーザーがサービス事業者に対して口座情報への参照を許可するための手続きが行われる。逆に言えば、エンドユーザーの同意なしには、API連携が成り立たないかたちである。

そのビジネス・モーメントを捉えて、顧客に対してその瞬間に最も必要なサービスを提供するためには、当然のことながら一事業者単体では不可能であり、異なる事業者が提供する複数のサービスを、エンドユーザーと協力してつむぎ合わせていかなくてはならない

単一の事業者が直接的にすべての顧客接点を有する「オムニチャネル」から、ときには他社の顧客接点をも活用して常にエンドユーザーのニーズを受け止めるための「エコシステム」の確立に、APIは欠かせないものとなるのだ。


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