虐待された子ども虫歯3倍 養育放棄が関連か

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030430-00000161-kyodo-soci


 虐待を受けた6歳未満の児童は、虫歯が平均の3倍もあることが東京都の調査で30日、分かった。虐待と虫歯の状況との関係を調べたのは全国で初めて。
 虫歯の多さは、親の養育放棄(ネグレクト)や不規則な家庭生活などが関連しているとみられる。都は「虐待の早期発見のために、歯科検診の活用が期待できる」としている。
 都は都歯科医師会の協力で、都内の児童相談所などで保護した1歳から小学生までの被虐待児童計170人を調査。(以下略)

とにかく,子供の虐待は良くないとと思う.
この記事は原因の推測はなんとなく納得いくし,ははーんとか思います..
しかし,本当に「虐待の早期発見のために、歯科検診の活用が期待できる」のであろうか?
つまり,話を単純化して,「歯科検診をしてその子供が虫歯であったから虐待を受けていると推定できる確率っ」どれほどのものなんだろうね.

実際,東京に1歳から6歳未満の子供は約45万人いる.
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/08toukei/tyosei/jyoho/00qyti0510b.htm

平成12年の統計でかつ正確に1-6歳未満での数字はないのであるが,だが,さして問題はないであろう.
で,その中で,「児童相談書が保護したぐらい虐待されていた子供」は170人.
P(虐待されていた) = 0.00038
P (虐待されていない) = 0.99962

で,記事を見ると
P(虐待されていた|虫歯) = 0.48
P(虐待されていた|虫歯じゃない) = 0.52
P(虐待されていない | 虫歯) = 0.21
P(虐待されていない | 虫歯じゃない) = 0.79

つうことだね.

だから,ベイズ理論をそのまま応用して,
「歯科検診に来た子供さんが虫歯だった場合に虐待されているのかよ,その子供」
ってのを計算しよう
P(虫歯 | 虐待されている) =   P(虐待されていた|虫歯) * P(虐待されていた)/ (P(虐待されていた|虫歯) * P(虐待されていた) + P(虐待されていない | 虫歯) * P (虐待されていない) )
= 0.48*0.000038/(0.48*0.00038+0.21*0.99962) = 0.00087

つまり,子供が虫歯だったら,0.087%の確率でその子は虐待されているわけだ.
って計算するまでもないが,虫歯だからって「あなたは虐待しましたね,こらー」とか言われるのもどうかと思うわけさ.
まあ,「児童相談所に来ない氷山の水の下のほうの子供はすごーく存在する.その子を何とかしよう」というのが趣旨なんだろうけど,なんかこれでいいのかなあ.

そもそも,虐待で収容された子供の虫歯を調べたんだから'早期'発見はないだろうという気もする.
もちろん虫歯の本数と虐待率の相関関係もあるんだろうから,多少そこがわかれば説得力が増すのであるが.けど,そもそも標本数が少なすぎって感じ.
さらに言うと虫歯見るより子供の傷とか見たほうが早いんでねえか?


これにはいまいち使えなかったけど,ベイズ理論ってのは面白くて,生じた事象をどんどん次の推定に取り入れることができる. 今,自分が考えているような「サービスの品質の評価を次のサービス選択の判断に取り入れる」ってことに使えるんじゃないかなあ. そして,さらに,うまく確率的推定と論理的推定を組み合わせれば,if thenルールで記述された論理推論的サービス内容の契約への結果のフィードバックが可能になるかもしれない.

とか言ってたら同じ様なことを言っている人が,とか言っていたら,すげーふつーの発想みたいだ. しょぼーん
http://japan.cnet.com/news/special/story/0,2000047679,20052855,00.htmとか
http://www.ml-labo.com/jp/technologies.htmとか.