良い論文の構造とは
期末だし,論文を書いている(正確には修正している).だから,最近句読点が「.,」なのだ.理系の大学を出た割には,まともに論文の指導を受けた覚えがない(なぜかというと,いつもぎりぎりになって上に見せるので,もう強制的に直されるか,えいままよと出しちゃえ/止めろとなっちゃうからだ).そんなもんで,良い論文とはどういうものかというのがいまいち自分の中ではっきりしていない.なので,良いといわれている論文を眺めて何が良かったか,感想を書くことにした.対象はとある学会の優秀論文賞を受賞した論文
かなり当たり前のことも書いてありますがメモということで.よろしゅう.
- とにかく,わかりやすい.やはり論文の大前提は「わかりやすさ」
- あたりまえだが,段落の最初にいいたいこと-> その詳細や具体という流れの段落内部構成が貫かれている.
- アブストラクトは,問題->問題に対する解決方式->解決方式の問題に対する有効性が簡潔に示されている.
- はじめにでは,結構アブストラクトとかぶる内容も書く.研究の背景・動機->本研究は何をしたか->背景においてどんな問題があるのか->本研究の問題を解決するに足る特徴は何なのか,が簡潔に書かれている.
- 従来問題の説明:まず従来問題を説明するために必要な前提知識が記述されている.その後に問題が,リストされて書かれている.個々の問題は抽象->具体例という順で示してある.過去の関連研究も参照される.
- 解決方法の提案: 今から問題を解決するぞという文の後に,全体像とその静的な構成要素および動的な実行手順の簡潔な説明が最初の節.このレベルでどの問題がどの構成要素で解決されるのかの「関連性」が示されている.次に構成要素の詳細が記述されている.ここで,「なぜその構成要素が問題を解決できるのか」の説明がなされている.
- 全体像を示す図.全体像を示す図では読者の理解を目的としているためか厳密な記法よりは,直感的なわかりやすさを重視している.
- 図と表: 構造的で抽象的な内容の説明には,おおよそ構造を表す図が添えられている.また,その具体例の図や表が示されている.
- 既存のモデルの活用: 説明の枠組みを簡略化し,その妥当性を高めるため,説明に既存のモデルを活用する.たとえば,静的構造を示すには,別にいわゆる言語のクラスでなくてもクラス図を,制限にはOCLを,集計方法には既存の統計手法を利用する.
- 実装したツールの画面は載せる.
- 評価: まず何のために評価をするのかを示す.すなわち,この研究でおいた仮説をちゃんと説明し,この仮説はこういう評価をしたら確認できるよねということを書く.具体的な評価方式や結果はその後.最初に記述された「何のため」に従い,考察を記述.数値評価結果データ->日本語によるデータの解釈や説明->解釈に基づく仮説妥当性に関する考察の順.
- おわりに: 最初の問題設定を改めて示し,具体的にどの問題はどう解決されたかを示す(改善した,解決した,有効性を確認した,など).その後は,future worksを書く.
という感じでした.もちろん「そもそものアイデアが重要」という話とは直交した観点でのビューによる感想だが,最近のてんかん薬の変更以降なら多少アイデアも出ると思うので,なんとかなるっしょ.がんばろっと.