居酒屋で計画的に料理を頼む

お酒を飲んでいいのは、日本では20歳からである。だから私は10年以上酒を飲んでおり、外で飲むときは居酒屋のような場所で飲むことになる。居酒屋で料理を頼むとき。あなたはどのぐらい計画的に頼んでいるだろうか。私は、いつものように全く計画性もなく適当に食べたいものを頼む。そうやって10年以上やり過ごしてきた。本当にそれでいいのだろうか。計画性もなく料理を頼む場合に生じる表面的な問題は、大別して以下のようなものである。

  • 満足できる料理の組み合わせや順序がわからない: 居酒屋で提供されるメニューをよく見てみよう。通常メニューは二階層のツリー構造になっている。メニューの第一階層はカテゴリ、第二階層はそのカテゴリに含まれる料理の集合という構造を持っている。しかし、このカテゴリは、ある決められた観点があるわけではない。あるカテゴリは”それをいつ頃食べるものであるか”だったり、"その料理の素材"だったり、”それがどのように調理されているか”だったりする。このように観点が混乱しているカテゴリは、料理を構造的に分類する際のカテゴリとして失格であるし、結果として、こんなひどい構造化されたメニューを持ってこられると、こちらも頼み方の手順を一般化することが非常に困難となる。そもそも居酒屋で、どういう順序で料理が出てくると皆さんが満足するかの一般的な流れがいまいちわからない。特にこの問題は、飲み会に参加する人数が多い場合に顕著になる。
  • 自分たちの満腹感を味わえる量の見積もりが出来ない:大体、居酒屋の料理って一品がどの程度の量なのか全くわからない場合が多い。で、「この料理何人分ですかねえー」とか聞くわけであるが、一人分とは何を意味するかについて、店員とぜんぜん合意が取れてない状態でそれを聞くというものすごいむちゃくちゃなやり方を行う。そんなことで、量の見積もりができるわけがない。たとえば、ラーメン一人分というと、まあ一回の食事で満足できる量のラーメンが出てくると想像できるが、居酒屋でから揚げ一皿何人分?と聞いたらそれは個数であり、一回の食事の全体に対する比率という観点ではない。個数では判断できないような料理(たとえば、サラダとかすくい豆腐とか)では、まったくわからない。このような結果、自分たちが満足になる量が不明なまま料理を頼む。この問題は、特に飲み会に参加する人数が多い場合に顕著になる。
  • 最終的にどの程度の値段になるのかわからない: まあ、最終的に値段なんかどうでもいい状態になっているのが普通だが、できれば先に大体何円ぐらいになるものを頼んでいるか知りたいとは思うであろう。当然頼むたびにその値段を合算していれば済む話であるが、そんなことをする人は知らない。もっとざっくり値段を知る方法がないだろうか。

私の場合、居酒屋を出る時、冷静な判断が出来ない状態になっていることが普通である。なので、上記のような問題は常に発生しているにもかかわらず、このような問題を解決するにはどうしたらよいか対策を立ててこなかった。
先週の土曜日、7時集合の飲み会で時間の見積もりの間違いから6時過ぎには会場についてしまった。あまりに暇なので、上記問題を解決するための方法を考えてみた。それがセットドリブンオーダーメソッド(Set-Driven Ordering Method)である。この方法は、居酒屋一般的に示されているセットメニューを、セットメニューとしてでなく、頼む料理のテンプレートと捉える点が特徴である。この方法により、上記問題を解決し、さらに、セットメニューで頼むのと比較して、自分たちの食べたいものを食べることを可能とする。
この方法の手順は以下のとおりである。

  1. その居酒屋のセットメニューを見る
  2. セットメニューしかないとして、オーダするであろうセットメニューを決める
  3. 決定したセットメニューに記述されている料理がメニューにおいて所属しているカテゴリを見てその中で食べたい料理を選択して、それぞれ頼む
  4. その料理の数は、「セットメニューの料理で出される量を一人分として、何人分頼むと一人に対してその量になるか」と聞いて料理の数を決定しオーダーする
  5. 料理を楽しむ
  6. 支払う
  7. 支払った後、料理分の値段を算出し、その値段と元のセットメニューの値段の比を覚えておき、今後はそのあたりの値段になることを覚えておく

こうすれば、一般的に満足できる料理の順序、そして量、そして大雑把な値段がわかる。ちなみにこれを考えた日は、上記を実行し、6人の飲み会で普段の倍以上の自信を持ってオーダーをした。が、そんな方法をベースとしたオーダだったことは誰も気づいていないだろう。実施しての考察としては、途中で勝手に他の人が頼みだしたら、もうだめということだった。今後は監視プロセスの定義や監視に基づいた計画変更のプロセスも含む方法として確立する必要があると感じた。