金持ちの国,リッチランドはガンダーラより遠かった
「沈没船の金貨」=仕掛け次々、リッチランド−だましの手口解明へ・警視庁など
健康食品販売会社「リッチランド」の巨額詐欺事件で逮捕された会長の佐伯万寿夫容疑者(61)らが、架空の投資話に出資した会員らに「沈没船から引き揚げた」とする金貨を送ったり、不動産投資先とされる東欧の「現地視察ツアー」を組んだりして信用させていたことが30日、分かった。警視庁などの合同捜査本部は、次々と打ち出される虚偽の「仕掛け」が被害を拡大させたとみて、だましの手口の解明を進めている。
沈没船の引き上げのために多くの人間から出資金を募って,本当に上がってきたら配当をみんなに支払うって話は,要するに大航海時代になんで東インド株式会社という世界ではじめての株式会社組織ができたかという理由に近いものがある.そういう意味では王道だ.
しかし,出資者は,この話が,リスクが低く期待リターンが高い儲け話であるなら,お堅い銀行とは言わずとも,金に群がるライブドア崩れとか,外資系投資銀行,ファンドなどの本物のプロが見向きもしなく,大した金も調達できない素人に話が来ることに疑問を感じて当然だろう.そうすれば,具体的な沈没船の引き上げの可能性とか引きあがってくるものの本来の価値の総量などといった,まじめなファンダメンタル分析をどしなくとも,これが,極端に高リスクで極端に期待リターンが低い金融商品なのだということがわかるはずだ.要するに「「みんなの意見」は案外正しい(注:本の趣旨は一部の専門家の意見より,知恵の少ない人間の多数決のほうが正しい結果を出すシチュエーションがあるって話だけど,要するに「他の人が見向きをしなかった」という理由は,拒否をする正当な理由になりえるいう意味でこのエントリでは使っている.)」って奴だ.
一方,出資を募る立場から言うと素人さんには,
- 借りる時,というより株や証券への出資なんだから,借りるんじゃない.つまり,担保が必要ない->逃げるが勝ち
- まあ,素人だから,当然口八丁でだませる
ということなんだろう.そうはいっても,(ファイナンシャルリテラシーが低いという意味でなく,持っている金が少ないという意味で)ごみ投資家さんをN人捕まえるという方式は,本来原価も結構かかるはずなのにねえ.意外に固定費ばかりで,Nに依存する費用は低い仕組みになっているのだろうか.
と思ったが,実はこれはWeb2.0なのではないか.つまり実はロングテールの発想で,口コミ,個人のつながりを費用の安い広告方式と位置づけ,ゴミ投資家をたくさん捕まえるというのは,実は効率がいいビジネスモデルということなのかもしれない.そういう意味では逆に実はロングテールはアマゾンの発明でなく,マルチ商法に代表される,この手の詐欺者のやってきたことなのかもしれない.
けどやっぱり,要は,「そんな都合のよい儲け話は誰も俺には話さない」「そんなのあったら先に大口投資家が話が言っているか,プロが先に漁っている」っていう当たり前の鉄則を知っているだけでいいのにね.実際,逮捕された社長は「配当できなかたったら死ぬ」と言っていたが,はっきりいって死んでもらっても投資家としては,なんら得がないわけで,せめて死んだら原資全部戻ってくるような生命保険を社員全員で入っておくぐらいはしてからそのようなことを口にしろよという気がした.(自殺だと保険金っておりないんだっけ?だったら沈没船探しに行く名目で風船おじさんんよろしく無謀に海に飛び込んでくれればよい)
# 投資してしまった関係者がいたらすみません.だからといって,宝くじで取りかえそうとはよもや考えないように.またサラ金にも手を出さないように.素直に弁護士に相談しましょう.
参考文献
なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方
- 作者: 藤沢数希
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/12/08
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