視力が2.0に

Web2.0の時代にさきがけて、なんだかんだで、本当に視力が2.0になった。by 品川近視クリニック。
もちろん、「定価70万が、今なら18万に!」とWebサイトに書いてあって、75%引きかーこれはお買い得!と思ってやったのだ。(うそ)
会社のblogには書いたが、なぜこのクリニックがこんな値段設定が出来るか/しなくてはならないかにはいろいろ理由があるようだ。自分が体験した中で感じたことを書くと

  1. 効率的な処理プロセス。: 本当に処理に無駄がない。受付からベルトコンベアに乗っている感じで次々検査を受け、説明を受け、次の日に同意書を書いて、金を払って、ちょっと待って20分ほどの手術をしたらおしまい。そのプロセスが決められており、完全にマニュアル化されているようだ。また、プロセスでかかる時間を患者ごとに計測していた。さらなる改善活動に使うのだろうか。
  2. 効率的なリソース利用: ここで働く人として最も高価なのは医師であろう。だから、法律で医者でしか出来ないという処理以外、医者は一切しなくていいように配慮されたプロセスになっている。なので、たとえば検査で1時間ぐらいかかるのだが、そのうち医者と対面しているのは5分ぐらい。さらに別の場所で行われる2つのプロセスで医者が必要な場面があるらしく、医者は中央の医者室に待機していて、足りなくなったら、そこから駆けつけるという仕組みになっているところが面白い。また、効率的という意味では、おそらくこのクリニックのボトルネックプロセスは、「手術するプロセス」であろう。どう見ても高そうな手術機械2台があって、この2台が常にフル稼働になるように術前検査から術後検査まで、調整しているのだと思われる。
  3. 難しい患者は取らない。: 仕組みとしてそうしているそうな。人によっては角膜が非常に薄い人がいるらしく、そういう人は、手術が難しかったり、手術の効果が薄い場合が多い。で、ある一定基準以外はお断りしているそうな。標準的でない患者は、あえてやらないことで、標準的なプロセスをできるレベルの人をそろえればよくして、また失敗リスクを回避しているのだろう。
  4. さらに紹介制度あり: 術後1週間検診後に、紹介制度なるものを紹介された。具体的に言えば、「俺が誰かを紹介したら、俺に3万円入金され、相手は1万5千円安くなる」というチケットを5枚もらった。つまり全部使えれば、おれ自身の手術台は3万5千になるのだ。なんでここまでするのか。理由は3つあると思っていて、
    1. はっきり言って眼の手術は怖い。クリニック側がいくら安全性を主張してもやっぱ怖い。だから、近くの体験者の口コミのお勧めが何よりも効くという結論なのだろう。
    2. 市場の奪い合いの問題もある。ざっくりというと、この手術、通常一人一回やれば終わりである。まあ、自分の葬儀と同じだ。結婚式の回数よりは少ない人もいるかもしれないという程度だ。近視の人の数%が、潜在的な手術対象者で、それらの人が手術を決意して手術をしてしまうと二度とやらない。「なかなかいいね。今度は視力8.0にしてもらおうかな」とはならないのである。つまり、今後近視になる人がいるにしても、市場はどんどん減る。だから、安くてもいいからとにかく、患者を先にとってしまったほうが勝ちなのである。だから、価格をさげることになる。
    3. あと、このクリニックって莫大な金額の手術/検査機械と時間固定で発生する人件費・機械維持費がメイン*1で、患者一人増えたら何ぼ原価があがるって感じでないのである(カルテと薬ぐらい)。だから、とにかく手術機械を使いまくって売り上げをあげないと利益が出そうにない。なので、どんなに安くても機械を使いきっている状態にしないとならんので、あれだけ安く設定して人を呼んでいるんだろう。

こんな感じ。で、検査のときに「ここはおそらくこういうビジネスモデルも含めてアメリカから輸入したんだろうあなあ。で、実際安く出来ているんだろうなあ」「難しい手術は、はじめからやらないという決めがすがすがしい(というより、自分たちができる手術を認識しているところに好感を持った)」ということでやったのであった。
まあ、20年もしたら問題がでるのかもしれんけど、その時には、それを治してくれるビジネスをこの人たちがやってくれると思うので、お金だけはためておかねばならないな。

*1:この莫大な初期投資と人が来るか来ないかに関係なく一定の維持費がかかる形態の原価形態をスケートリンク型と一部(俺)では呼んでいる。