"I've Been to the Mountaintop" 〜 Martin Luther King's Last Speech

　最近、お酒を飲めないこともあって、あまりテレビのバラエティとか見ない。ガキの使いとかくりいむナントカとか雨上がりとか酒を飲んでみると最高に面白い番組が全然面白くない。もったいないなあ。しょうがないので、ＤＶＤとかを見ています。今は、映像の世紀をフル回転で。今日は第９集「ベトナムの衝撃」を見ているのだが、この集を見るたびに思うのが、Martin Luther Kingの暗殺直前のスピーチの迫力。 自分はこのスピーチ以上の迫力を持つスピーチを見たことがない。彼の演説としては、彼の絶頂時の"I have a dream"が有名だ。しかし、このスピーチのほうが私は好きだ。この最後のスピーチの頃、すなわち、1968年4月3日、すでに彼の非暴力的なやり方が行き詰まり、あまり政治的な影響力を持っていなかったらしい。では、この時のスピーチの迫力はなぜだろう。理由はわからないが、自分が暗殺される運命から逃れられないことをすでに予期していたのだろう。そして、そのことから来たのは、自身が目指していたことを達成できそうもなくなったことへの悔しさか、暗殺予告への恐怖か、はたまた悟りきった境地か。

I've been to the mountaintop

(最後のみ引用) We've got some difficult days ahead. But it doesn't matter with me now. Because I've been to the mountaintop. And I don't mind.Like anybody, I would like to live a long life. Longevity has its place. But I'm not concerned about that now. I just want to do God's will. And He's allowed me to go up to the mountain. And I've looked over. And I've seen the promised land. I may not get there with you. But I want you to know tonight, that we, as a people, will get will get to the promised land!
And so I'm happy, tonight. I'm not worried about anything. I'm not fearing any man! Mine eyes have seen the glory of the coming of the Lord!!
日本語訳(by ベースは、ここ、ちょっと納得がいかないので修正)
前途に困難な日々が待ってます。しかし、そんなことは関係ありません。私はもう山の頂上に登ってきたのだから。皆さんと同じように私も長生きがしたい。長生きするのも悪くないが、今の私にはどうでもいい。神の意志を実現したいだけです。神は私が山に登るのを許され、私は頂上から約束の地を見たのです。私は皆さんと一緒に行けないかもしれないが、ひとつの民として私たちはきっと約束の地に到達するでしょう。
今夜、私は幸せです。何の心配もないし、何者をも恐れない。神の再臨の栄光をこの目でみたのですから
# 'as a people, will get will get to the promised land!' おそらく、私はいけないが、たとえば｢黒人」という人種の集団としては約束の地にいけるはずだということ。旧約聖書とか読むと、民を引き連れた預言者が、何らかの契約を破ったとかであっさり神に殺されるのでこういう言い回しは、単にキング牧師が聖書の言い回しで自分が死ぬかのようにもとれる発言をしている可能性がある。(本人は暗殺の危機と重ね合わせていたのだろうが)
# 最後の”Mine eyes have seen the glory of the coming of the Lord!!"は、'The Battle Hymn of the Republic'からの引用。引用中にもあるはずだが、MineはここではMyの意味で用いられる古語

ちなみに映像の世紀では、この演説を言い切って壇上を降りるキング牧師を映すタイミングで「パリは燃えているか ― NHKスペシャル「映像の世紀」オリジナル・サウンドトラック完全版」が入る。もう感動のあまり涙なくしては見れない。映像の世紀Special Boxは、もう数年分ぐらいのNHKの受信料ぐらいの価格なのだが、その価値は十分ある。みんな買いましょう。

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なお、この演説にいたるまでの詳しい背景やその後は、このページを参照してください。彼は体調も最悪でとても演説をできる状態ではなかったようですが、彼のスピーチの中にもある「よきサマリア人」の話(ルカによる福音書 10章 25節〜36節)を引用し、困っている人がいるのにどうしてそれを見捨てることができるだろうかと言い、この演説に望んだといわれています。